先生という役目を終えて

元々先生っぽかったんでしょうか。
今まで何人もの学生から「先生!あ、間違えた!石原さんだった!笑」と言われてきてたので。笑


そんな自分がリアルに『先生』になる機会がやってきました。
学校からのリクエストは

【料理人としての人生でもしも接客をする機会が訪れた際に、取り返しのつかないミスを起こしてしまって結果リタイアすることのないようにしてほしい】

でした。
どうやら過去の卒業生の中には就職先で接客をせざるを得ない状況があり、そこで免疫もなく得意とも言えない接客を経験し、大きなクレームをもらって仕事を辞めてしまうパターンが何度かあったと見受けられます。
たしかにもったいないですよね。
そしてその接客を受けたお客様にとっても良い時間ではないですし、接客をした側も同じく…誰も幸せになっていない。


自分は「この業界を甘く見るなよ」「接客は大変なものだ」「仕事は見て盗め」といった時代にホテル・ブライダルの配膳人となりました。
それが当然だという空気の中で「きちんと教えてくれたほうが成長が早いはず」と伝えると、「教えてもらっていると自分で考えなくなる」「この厳しさに耐えられたらどこに行っても通用する」と突き放された経験があります。
出入りの激しい業界であることは今も変わっていません。
ですが本当に「自分で考えるくせが付かなくなるの?」でしょうか。
「どこに行ってもやっていけるようになるまで耐える必要があるの?」でしょうか。

仕事を離れていく人の多くは「面白くない」「上手くいかない」「先輩や上司が教えてくれない」結果、「お客様を喜ばせられない」「自分には向いていない」と考えてしまうのが原因です。
反対に仕事にハマる要因は「奥深く面白い」「きちんと教えてもらえて上手くいくようになった」「お客様が笑顔で帰ってくれた」「自分でもやっていけるかもしれない」などです。
不慣れな人は、自分で考えさせられてどうしていいかわからないまま上手くいかずに面白くなくなって心が折れる。
「言わなくてもそれくらいわかるだろ」といった一方通行の価値観を持っている限り、不慣れなスタッフに歩み寄る考えは起きるはずもなく、そんなスタッフに対応される不幸せなお客様と自信のない新人が量産されていく図式は悪循環でしかなく一刻も早くなくさなければなりません。


先のブログでも述べましたが自分が生徒に伝えたかったのは概して『サービスの楽しさ』です。
決してどこに出しても耐えられる根性を鍛えるという考えはありません。
楽しいから頑張れるし努力も厭わなくなるし目標を持って進んでいけます。
多くの先輩たちは、自分がどうしてこの仕事をずっとやっているのか、その魅力を体現してくべきだと思っています。
そうやって素敵なサービスマンの裾野を広げていく活動がきっと必要です。


今回の先生としての役目はそこをとっても意識しました。
実際に生徒からの反応も

「接客をやってみたくなった」

「やってみたら面白かった」

「接客をする機会が来たら思い出します」

と好評でした。
それと同時にこういう立場になったことで自分がやってきた接客についての振り返りや棚卸ができて心から感謝しています。
初授業の前に40人の生徒全員の顔と名前を覚えるというチャレンジも久々に燃えましたし。笑


この試みは接客だけでなく後継者が育たないと嘆いている他業種にも言えるのではないでしょうか。
あなたの部下や後輩たちはあなたや上司みたいになりたい!と突き進んでいるように見えますか?